2022
7/05
目次
日本では、2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」、2021年4月に「2030年46%削減」が表明されました。
この目標に向けて、2021年6月に「第6次エネルギー計画」が閣議決定されました。
第6次エネルギー基本計画では、脱炭素化に向けて、「再生可能エネルギー」の主力電源化を徹底すると記載があります。
本日は、今後に向けた日本の「再生可能エネルギー」主力電源化の取り組みをご紹介します。
再生可能エネルギーとは
再生可能エネルギー(Renewable Energy)とは、「化石」由来のエネルギーとは違い、
①温室効果ガスを排出しない
②資源が枯渇しない
という特徴を持つ「自然」由来のエネルギーのことです。
再生可能エネルギーは日本国内でも生産できることから、エネルギー安全保障にも寄与できます。
再生可能エネルギーの種類
再生可能エネルギーは主に6種類あります。
① 太陽光発電
② 水力発電
③ 風力発電
④ 地熱発電
⑤ バイオマス発電
⑥その他(太陽熱・雪氷熱利用・温度差熱利用・地中熱利用等)
それぞれ説明します。
太陽光発電
シリコン半導体に光が当たると電気が発生する現象を利用し、
太陽の「光エネルギー」を直接「電気エネルギー」に変換する発電方法です。
太陽電池モジュールの発電によって生まれる直流電力は、
パワーコンディショナによって、一般に利用できる交流電力に変換されます。
<特長>
・基本的に設置する地域に制限がなく、導入しやすい
・屋根、壁などの未利用スペースに設置できるため、新たに用地を用意する必要がない
・非常時にも発電可能
<課題>
・気候条件により発電出力が左右される
水力発電
水力発電は、高い所に貯めた水を低い所に落とし、その力(位置エネルギー)を利用して水車を廻し、水車につながっている発電機を回転させることにより電気に変換する発電方法です。
<特長>
・自然条件によらず一定量の電力を安定的に供給が可能
・一度発電所を作れば、その後数十年にわたり発電が可能
<課題>
・ダムの新造には費用が掛かる
・ダムは周辺の環境や生態系に影響を及ぼす
風力発電
風力発電は、風の力を利用して風車を回し、風車の回転運動を発電機を通じて電気に変換する発電方法です。
<特長>
・陸上と洋上で発電が可能なエネルギー源である
・夜間も稼働可能
<課題>
・世界では風力発電の発電コストは急速に低下しているが、日本の発電コストは高止まっている
・系統制約、環境アセスメントの迅速化、地元調整等の開発段階で高い調整コストがかかる
地熱発電
地熱発電では、地下のマグマの熱エネルギーを利用します。
地上で降った雨は、地下の高温マグマ層まで浸透すると、マグマの熱で蒸気になって地下1000m〜3000m付近に溜まります。
井戸などを掘ってこの高温の蒸気を取り出し、タービンを回すことで電気に変換する発電方法です。
<特長>
・純国産エネルギー
・発電に使った高温の蒸気・熱水は、農業用ハウスや魚の養殖、地域の暖房などに再利用可能
・夜間も稼働可能
<課題>
・開発に時間がかかる
・高い開発費用
バイオマス発電
バイオマスとは、動植物などから生まれた生物資源のことです。
例えば、
・木くず
・間伐材
・生ごみ
・動物のふん尿
・さとうきび
があげられます。
バイオマス発電では、この生物資源を「直接燃焼」したり「ガス化」するなどして、電気に変換する発電方法です。
<特長>
・温室効果ガスを排出しない
(光合成によりCO2を吸収して成長するバイオマス資源を燃料とした発電は「京都議定書」における取扱上、CO2を排出しないものとされている)
・循環型社会を構築
(未活用の廃棄物を燃料とするバイオマス発電は、廃棄物の再利用や減少につながり、循環型社会構築に大きく寄与する)
<課題>
・資源が広い地域に分散しているため、収集・運搬・管理にコストがかかる
再生可能エネルギーのメリット
再生可能エネルギーに取り組むべき理由は、2つあります。
温室効果ガス排出量を削減できる
以下が日本における電源種別ライフサイクルCO2です。
1kWhあたり、どれくらいCO2を排出しているかを示しています。
単位:kg-CO2/kWh
※発電燃料の燃焼に加え、原料の採掘から諸設備の建設・燃料輸送・精製・運用・保守等のために消費されるすべてのエネルギーを対象としてCO2排出量を算出。
※原子力については、現在計画中の使用済燃料国内再処理・プルサーマル利用(1回リサイクルを前提)・高レベル放射性廃棄物(0.020kg-CO2/kWh)の結果を設備容量に基づき平均。
出典:電力中央研究所報告書
CO2は、発電時の燃料燃焼以外に、発電所の建設や燃料の採掘・輸送・精製・廃棄物の処理などエネルギーの使用に伴って
発生しており、このような間接的な排出も含め、総合的に評価しても、
再生可能エネルギーの方がCO2の排出量が少ないといえます。
エネルギー自給率
エネルギー自給率とは、国民生活や経済活動に必要な一次エネルギーのうち、自国内で産出・確保できる比率のことです。
2019年度の日本のエネルギー自給率は12.1%です。
下記図を見ても、世界各国と比較しても自給率が低いことが分かります。(OECD36か国中35位)
引用:IEA「World Energy Balances 2020」の2019年推計値、日本のみ資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」の2019年度確報値。
現在日本は、ロシア・ウクライナ情勢や円安・ドル高の影響を受け、資源価格が高騰し、
それに伴い国民の電気料金が急激に上昇しています。
日本での再生可能エネルギーの導入をすすめ、海外から化石燃料を調達する資金を減らすことがポイントです。
再生可能エネルギーの課題
再生可能エネルギーの課題として、「コストが高い」といわれます。
2020年の電源別発電コスト試算結果①
電源 | 石炭火力 | LNG火力 | 原子力 | 石油火力 | 陸上風力 | 洋上風力 |
太陽光 (事業用) |
太陽光 (住宅) |
発電コスト (円/kWh) |
12.5 (12.5) |
10.7 (10.7) |
11.5~ (10.2~) |
26.7 (26.5) |
19.8 (14.6) |
30.0 (21.1) |
12.9 (12.0) |
17.7 (17.1) |
設備利用率 稼働年数 |
70% 40年 |
70% 40年 |
70% 40年 |
30% 40年 |
25.4% 25年 |
30% 25年 |
17.2% 25年 |
13.8% 25年 |
2020年の電源別発電コスト試算結果②
電源 | 小水力 | 中水力 | 地熱 |
バイオマス (混焼、5%) |
バイオマス (専焼) |
ガス コジェネ |
石油 コジェネ |
発電コスト (円/kWh) |
25.3 (22.0) |
10.9 (8.7) |
16.7~ (10.9) |
13.2 (12.7) |
29.8 (28.1) |
9.3~10.6 (9.3~10.6) |
19.7~24.4 (19.7~24.4) |
設備利用率 稼働年数 |
60% 40年 |
60% 40年 |
83% 40年 |
70% 40年 |
87% 40年 |
72.3% 30年 |
36% 30年 |
※()内は政策経費なしの値
引用:資源エネルギー庁HP
実際に、LNG火力が1kWhあたり10.7円であるのに対し、太陽光(事業用)
は12.9円(政策経費なし)となっています。
特に太陽光発電は、コストがどんどん下がってきてはいますが、
LNGに比較するとまだ高いということがいえます。
再生可能エネルギーの導入状況・発電比率(世界)
出展:IEA「World Energy Outlook」2016~2020年度版より資源エネルギー庁作成
世界全体の再エネの発電設備容量は年々増加しています。
再生可能エネルギーの導入状況・発電比率(日本)
https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/070_01_00.pdf
日本についても、再エネ導入量は世界第6位で、この7年間で約3倍に増加しています。
第6次エネルギー基本計画で示された、再エネ主力電源化に向けた取り組みとは?
第6次エネルギー基本計画では、2050年カーボンニュートラルに向けての対応が整理されています。
電力部門
・徹底した省エネによるエネルギー消費効率の改善
・脱炭素電源による電力部門の脱炭素化がすすめられる
電力部門
再生可能エネルギーや原子力など実用段階の脱炭素電源を用いて着実に脱炭素化を実現する。また、水素・アンモニア・CCS・カーボンリサイクルを活用する
太陽光発電の大量導入に向けて
・地域と共生可能な形での適地確保
・さらなるコスト低減に向けた取り組み
・出力変動に対応するための調整力の確保
・出力制御に関する系統ルールのさらなる見直し
・立地制約の克服に向けたさらなる技術革新
を行っていくと想定されています。
つまり、水素・アンモニアなどの新しい技術の開発をしながら、
太陽光発電など既存の再生可能エネルギーのコスト低下、法制度の適正化を行っていくようです。
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最後に
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