脱炭素社会において、激変した業界の1つである自動車業界はEV(電気自動車)シフトの流れでサプライチェーンの精査や競合の参入などめまぐるしく変化しています。
そのEVが普及する中で注目されているのがEVを自動車としての利用だけではなく、大きな蓄電池としても利用するという動きです。
その際に必要なのが、EVの電力を家庭や施設に回すことが出来る設備『V2H』です。
今回は『V2H』についてご紹介します。

V2Hとは

V2Hはビークルトゥホーム(Vehicle to Home)といって、EV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)にバッテリーとして搭載されている電池に蓄えられている電力を自宅、もしくは施設に流用できるシステムです。
昨今の、電力ひっ迫注意報や多発する災害対策目的での導入が増えています。

主な2つの機能

EVへの充電

1つ目の機能はブレーカーに繋ぐことで、EVへの充電が出来る点です。
EV充電器は主に普通充電器と急速充電器の2種類ございますが、V2Hの充電速度は普通充電器の2倍、急速充電器と同等の速度で充電が可能です。

EVから建物への電力供給

2つ目の機能は冒頭でも記載した通り、繋いだEVの電力を家庭や施設へ流用することが可能な点です。
EVを蓄電池として利用し、停電などの緊急時に電力を使用することが出来ます。

つまり、『家庭や施設からEVへ充電』と『EVから家庭や施設への電力供給」の両方の役割を担うことが出来る設備、それが『V2H』です。

蓄電池にとって代わるEVの蓄電性能

蓄電容量

家庭用の蓄電池は最大12kwh、EVは日産リーフを例に出しますと蓄電容量は40kWhと容量は遥かに多いです。
蓄電機能が最も力を発揮できるのが地震や台風などの災害に起きる停電時です。
蓄電池を使って、少しでも長い時間、電力を確保するのであれば蓄電池よりEVが向いています。

導入費用

費用面で言いますと、自動車としての機能と蓄電池としての機能を兼ね備えるEVはかなりコストパフォーマンスが高いです。
家庭用蓄電池はおよそ150万円として、EVはおよそ270万円。
蓄電池とガソリン車を買うよりもEV1台を購入したほうがお得なのです。
更にEVはガソリン車よりも燃費が良いので、ランニングコストも抑えることが出来ます。
家庭用を例に出していますが業務用も同様の事が言えます。

V2Hと太陽光発電との相性

太陽光発電からEVへの充電

V2Hと太陽光は相性が良く、V2Hは太陽光発電で得た電力をEVに充電することが出来る為わざわざEV充電スポットに行く必要もありません。
更に電力会社から電気を購入することもないので、電気代が高騰している今、絶大な効果を発揮します。

太陽光が発電しない時間帯の家庭への電力供給

更に太陽光が発電しない時間帯ではV2HはEVに蓄電されている電気を住宅へ供給することが出来ます。
先述の通り、蓄電容量が多いので長い時間、電力の確保が可能です。
太陽光発電が昼間以外は発電できないというデメリットをカバーすることで、安心して電力の確保を行うこ出来ます。

非常時電源は蓄電池?それともEV?

V2Hという設備により、EVの特徴が十二分に発揮されることがお分かりいただけたと思います。
そこで非常時の電源は蓄電池の他にもEVという選択肢も生まれ、果たしてどちらが良いのかという疑問が生まれます。
これは初期費用や所有している車種によってどちらかを選択するかによります。
ただ、初期費用に関していえばV2H関連の補助金を使用することによって出費を抑える事ができます。

V2H関連補助金

現在V2H関連の補助金は昨年に比べて2倍以上増加しています。
いくつかご紹介いたします。

①令和4年度電気自動車普及等の促進事業(V2H)@東京都
https://www.tokyo-co2down.jp/subsidy/ev-v2h
こちらでは個人、法人両方が対象のと太陽光を設置済みもしくは同時に導入するのであればEVに対して75万円の補助が出ます。
V2H導入に対しては個人のみとなりますが、太陽光とセットであれば補助額は驚愕の10/10(上限100万円)となっています。

②令和4年度 CEV補助金(V2H充放電設備)@全国
http://www.cev-pc.or.jp/hojo/v2h.html
こちらは全国の購入者(個人・地方公共団体・法人・その他団体等(リース会社含む))を対象としたEVとV2Hの補助金です。
エリアや対象を限定していませんので、幅広い対象の方々が補助を活用できます。

最後に

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