今回はカーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)について解説いたします。

CDPとは?

 

カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)とは、機関投資家が連携し、企業に対して気候変動への戦略や具体的な温室効果ガスの排出量に関する公表を求めるプロジェクトのことです。
具体的には、主要国の時価総額の上位企業に対して、毎年質問表が送付され、企業がその質問に対し、回答を送るという形式です。
CDPの情報開示プログラムは複数の分野があり、2021年5月時点で、企業向けには「気候変動」「ウォーターセキュリティ」「フォレスト」の3種類の質問書があります。
2000年よりこのプロジェクトは開始しており、企業側の回答率も年々上昇しています。

企業がこのプロジェクトを通して情報を開示するメリットはいくつかあります。

①企業の信頼向上

まずは、企業の信頼度・評価向上につながるということです。しっかりと情報を開示することは顧客からの評価につながります。

②企業の競争力が上がる

情報を開示している企業と開示していない企業では、情報を開示している信頼できる企業が選ばれます。選ばれる企業になることで、資金調達がしやすくなったり、ビジネスの機会創出につながったり、結果として売り上げ向上につながります。

 

CDPの評価方法

ここからはCDPがどのようにして企業の環境への取り組みを評価しているのかを解説いたします。

CDPの評価はA+からD−までの8段階評価です。

各設問の回答にはそれぞれ点数があらかじめつけられており、その点数によって、上記のアルファベット評価がつきます。
質問はいくつかのカテゴリーに分類され、カテゴリーごとにウェイトが設定されていています。

 

日本企業の取り組み状況

ここからはCDPが発表している「気候変動レポート2020」をもとに日本企業の気候変動に関する取り組みの現状についてご紹介いたします。

日本企業を対象とした調査は、2006年から2008年は150社を対象として質問書を送付していましたが、2011年よりFTSEジャパンインデックスに該当する企業を基本として選定した500社(以下、ジャパン500)を中心に質問状が送付されています。

質問項目としては、「農業」「エネルギー」「素材」「輸送」「金融」「建設」「不動産」「資本財」となっており、これはTCFDセクター22のうち16と整合性をもたせた項目となっています。

2020年は、ジャパン500で、最高位のAにランクされた企業が51社、自主回答企業2社の合計53社となりました。
スコア分布としてはAが16%、A-が22%(70社)、最も該当企業数が多かったBランク29%(94社)という結果になりました。
Aランク企業が2019年の38社から大きく数値を伸ばしたことについて、CDPは「昨年に増して日本企業のTCFD勧告への対応が進み、開示情報の質が向上していることも影響している。」との評価をしています。

CDPの質問事項はTCFDと整合性を取るものとしておりますので、GHG排出削減目標に関する設問も設けられております。
その中でscopeについて第三者の検証を受けているかどうかという評価項目の結果は以下の通りです。

※Scopeとは

Scope1:事業活動に伴う直接排出量

Scope2:事業活動で使用した熱・エネルギーの製造段階における間接排出量

Scope3:上記以外の間接的に排出される温室効果ガス

このグラフからもわかるように企業の温室効果ガス削減に対する意識が年々高まっていることがわかるかと思います。

 

気候変動対策のステップ

CDPが推奨している企業の気候変動対策ステップは以下の通りです。

【STEP1 現状把握】 サプライチェーンでのGHG排出量把握(Scope1,2,3把握支援)
【STEP2 目標設定】 パリ協定に整合した削減目標設定(SBT認定取得支援)
【STEP3 削減活動】 再エネや省エネ等の削減活動実行、進捗管理(再エネ証書(EACs)活用支援、サプライヤーエンゲージメント支援等)
【STEP4 オフセット】どうしても削減しきれない排出量をオフセット(カーボン・オフセット実施支援等)
【STEP5 情報開示】 一連の取り組みと成果を開示(CDP回答、TCFD提言対応支援)

まずはしっかり自社がどのくらい温室効果ガスを排出しているのかを把握し、その中でどこから削減していくことができるのかを明確化させる必要があります。

 

最後に

再生可能エネルギー.comは株式会社サンエーが運営しております。

弊社は再生可能エネルギー事業の他、電気設備工事事業、住宅事業、IoT住宅設備事業、次世代LED事業等、お客様の生活の質を向上できるよう多岐に渡って事業を展開しております。

「エネルギー問題の解決につながるような取り組みをビジネスの中で実現したい」そんな思いから「化石燃料の奪い合いのない社会」をつくるために社員全員で最善のご提案をさせていただきます。