2022
8/03
目次
2050年カーボンニュートラル達成のために、
温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギー(再エネ)の導入量を増やすことが求められています。
しかし、日本の再エネは発電コストが高いという問題があります。
本日はなぜ日本の再エネコストは高いのか、今後の取り組みについて解説します。
世界全体の発電設備容量
世界の再生可能エネルギー発電設備の容量(ストック)は2015年に約2,000GW程度まで増加し、
最も容量の大きい電源となっています。
引き続き再生可能エネルギー発電設備の容量は増加しており、年間約180GWのペースで増加している状況です。
引用元:国内外の再生可能エネルギーの現状と 今年度の調達価格等算定委員会の論点案
世界全体の再生可能エネルギーのコスト
再エネの容量の増加に伴い、世界では太陽光発電・風力発電を中心に再エネコストが低減傾向にあります。
発電コストの指標の一つにLCOEがあります。
LCOEとは、Levelized Cost Of Electricityの略で、
発電量あたりのコストを意味し、「均等化発電原価」とも言われています。
LCOEは発電所における建設、運転、廃止措置にかかるコストを計算しており、
発電した電力を需要家に供給するためのネットワークコストや、
気象条件による再エネ発電電力量の変動の調整コストは含まれていません。
引用元:国内外の再生可能エネルギーの現状と 今年度の調達価格等算定委員会の論点案
世界のLCOEと入札制度における落札価格を比較すると、
太陽光発電・陸上風力発電ともに、落札価格の平均値はLCOEの水準よりも低い傾向となっています。
世界全体の太陽光発電のLCOEは、2022年には100USD/MWhを下回っています
日本の再生可能エネルギーのコスト
日本においても、太陽光発電・風力発電を中心に再エネコストが低減しています。
2019年、事業用太陽光発電のコストは13.1円/kWhで、2030年にはその半分以下の5.8円/kWhとなる見込みです。
日本の再エネ発電コストは、世界の中で高い
以下のグラフは、インド・アメリカ・中国・ヨーロッパの電源のコスト比較です。
一番右の棒グラフが日本の再エネの発電コストを表していますが、
日本の風力発電・太陽光発電のLCOEは、最も高く100USD/MWhを上回っています。
引用元:Projected Costs of Generating Electricity – 2020 Edition
なぜ日本の再エネ発電コストは高いのか
日本の再エネの発電コストが高い理由に、「調達価格」が各国と比較して高いことが上げられます。
引用元:令和4年度以降の調達価格等に関する 意見
特に、2012年度に導入された固定価格買取制度の初期の再エネの買取価格は「40円」と高く、
さらにそれらの初期案件には運転開始期限が設定されませんでした。
そのため事業者はコスト削減の努力をあまりせずともプロジェクト建設が可能であり、
日本の再エネコストを高止まりさせている理由ともなっていました。
また、調達価格が下がっている現在も日本の再エネコストが高い理由は以下3つです。
①物価の高さ
日本は物価が高く、再生エネルギーを利用するのに欠かせない太陽光パネルや風力発電機に影響を受けます。
②人件費の高さ
諸外国に比べ人件費が高いため、工事の施工費用が上がっています。
③土地が少ない
日本は他国よりも再エネ建設の適地が少ないことに加え、国土面積の約1割に相当する土地は所有者不明となっています。
再エネのコストを下げる取り組み
再エネのコストを下げるための政策は以下3つです。
1.電源の特性に応じた制度構築 (→ 競争力ある再エネ産業への進化)
・再エネの利用を総合的に推進する観点から、「FIT法」から「再エネ促進法」に改正。 【再エネ促進法】
・市場連動型のFIP制度の創設 【再エネ促進法】
・分散型電力システムの促進 【電気事業法】
2.適正な事業規律 (→ 再エネと共生する地域社会の構築)
・太陽光発電の廃棄費用の外部積立義務化 【再エネ促進法】
・長期未稼働に対する失効制度 【再エネ促進法】
3.再エネの大量導入を支える次世代電力NW (→ 再エネを支えるNW等の社会インフラの整備)
・マスタープランの法定化 【電気事業法】
・系統増強費用への賦課金投入 【再エネ促進法】
再エネはコストがかかるというイメージを持つ方もいらっしゃったかと思いますが、
日本では現在様々なコストダウンに向けた取り組みが行われていることをご理解いただけましたでしょうか?
日本の再エネのコストダウンは可能でございます。
再エネ導入の際はまず弊社にご相談ください。
最後に
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弊社は再生可能エネルギー事業の他、電気設備工事事業、住宅事業、IoT住宅設備事業、次世代LED事業等、お客様の生活の質を向上できるよう多岐に渡って事業を展開しております。
「エネルギー問題の解決につながるような取り組みをビジネスの中で実現したい」そんな思いから「化石燃料の奪い合いのない社会」をつくるために社員全員で最善のご提案をさせていただきます。
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