今回は「GHGプロトコル」について解説いたします。

 

「GHGプロトコル」とは?

GHGプロトコルとは、GHG(温室効果ガス)を算出・管理する国際的な基準のことです。 2016年にはフォーチュン500(CDP)企業の92%が、GHGプロトコルに基づいて、GHGの報告を行っています。 GHGプロトコルを策定したのは、GHGプロトコルイニシアチブであり、 GHGプロトコルイニシアチブは、 1998年に「世界経済人会議(World Business Council for Sustainable Development:WBCSD)」 と 世界資源研究所(World Resources Institute:WRI)」により共同で発足され、現在は企業、政府機関、NGO等も参加している組織です。 GHGプロトコルイニシアチブは、GHGの算出・管理のための7つの基準を公開しています。

 

①【企業・組織向け】Corporate Standard

京都議定書の対象となる7つの温室効果ガス(二酸化炭素・メタン・亜酸化窒素・ハイドロフルオロカーボン・パーフルオロカーボン・六フッ化硫黄・三フッ化窒素)の算定と報告を対象としています。 主に企業が、標準化されたアプローチと原理を使うことで、GHG算定・報告の正当性を高めることに役立ちます。

Corporate Standardはこちらから確認できます。

②【企業・組織向け】Corporate Value Chain (Scope 3) Standard

「主に企業がバリューチェーンやScope3の排出量の影響を評価し、削減計画を立てることに役立ちます。 Scope3とは、事業活動に伴う直接排出量(Scope1)と事業活動で仕様した熱・エネルギーの製造段階における関節排出量(Scope2)にあてはまらない、企業活動で間接的に排出される温室効果ガスのことをいいます。

*環境省HPより引用 これまで、ほとんどの企業は自社の事業からの排出量と電力消費量のみに重点をおいてきましたが、Scope3 standardは、購入した商品から販売した商品の廃棄まですべての排出量を算出することを目的としています。 2011年にリリースされたScope3 standardは、サプライチェーン排出量を説明するため 唯一国際的に認められた手法となります。 事業の上流と下流の両方で、以下15のカテゴリーから排出量を説明することが可能になりました。

15のカテゴリ
購入した製品・サービス

原材料の調達、パッケージングの外部委託、消耗品の調達

資本財

⽣産設備の増設(複数年にわたり建設・製造されている場合には、建設・製造が終了した最終年に計上)

Scope1,2に含まれない 燃料及びエネルギー活動

調達している燃料の上流⼯程(採掘、精製等) 調達している電⼒の上流⼯程(発電に使⽤する燃料の採掘、精製等

輸送、配送(上流)

調達物流、横持物流、出荷物流(⾃社が荷主)

事業から出る廃棄物

廃棄物(有価のものは除く)の⾃社以外での輸送、処理

出張

従業員の出張

雇⽤者の通勤

従業員の通勤

リース資産(上流)

⾃社が賃借しているリース資産の稼働 (算定・報告・公表制度では、Scope1,2 に計上するため、該当なしのケースが⼤半

輸送、配送(下流)

出荷輸送(⾃社が荷主の輸送以降)、倉庫での保管、⼩売店での販売

販売した製品の加⼯

事業者による中間製品の加⼯

販売した製品の使⽤

使⽤者による製品の使⽤

販売した製品の廃棄

使⽤者による製品の廃棄時の輸送、処理

リース資産(下流)

⾃社が賃貸事業者として所有し、他者に賃貸しているリース資産の稼働

フランチャイズ

⾃社が主宰するフランチャイズの加盟者のScope1,2 に該当する活動

投資

株式投資、債券投資、プロジェクトファイナンスなどの運⽤

Corporate Value Chain (Scope 3) Standardはこちらから確認できます。
また、日本には、環境省と経済産業省が策定した、サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する
基本ガイドライン
があり、GHGプロトコルと整合性がとれたものとなっています。(2022年3月版)

 

③【企業・組織向け】Product Standard

製品のライフサイクルの算定・報告基準となります。
原材料・製造・輸送・保管・使用・廃棄といった、製品のライフサイクル全体の排出量を理解し・削減することに役立ちます。

Product Standardはこちらから確認できます。

 

④【都市・コミュニティ向け】GHG Protocol for Cities

エネルギー関連の二酸化炭素排出量の75%は、都市が占めているといわれています。
都市が気候変動対策に取り組むためには、排出量がどこから来ているのかを特定することが重要となります。

GHG Protocol for Citiesは、都市の温室効果ガス排出量の一貫した測定と報告を可能にします。

GHG Protocol for Citiesはこちらから確認できます。

⑤【国・都市向け】Mitigation Goal Standard

GHG排出量削減目標達成に向けて、進捗状況を評価および報告するためのアプローチを提供しており、
GHG排出量の削減に向けた政策と行動の効果を見える化することを目標として策定されました。

Mitigation Goal Standardはこちらから確認できます。

⑥【国・都市向け】Policy and Action Standard

国・地方の政策のGHGの影響を評価して、排出量の削減における効果を改善し、
最良の結果を得るためにどこに投資すべきかが明らかになります。

Policy and Action Standardはこちらから確認できます。

⑦【企業・組織・国・都市・コミュニティ向け】Project Protocol

気候変動緩和プロジェクトによる温室効果ガスの削減量を算定するための最も包括的なツールです。
GHG削減のためのプロジェクトの結果を定量化し、報告するための、原則や方法を提供しています。

Project Protocolはこちらから確認できます。

 

GHGプロトコルは国際的な様々なイニシアティブから参照されている規格です。

今後、SBT(Scope3の野心的な削減目標の設定を要求している)というイニシアティブの参加企業が取引先である場合、
中小企業であってもGHGプロトコルの定める方法により、
サプライチェーン排出量を算定し、削減を行う必要があります。

脱炭素のための対策をはやめにとりましょう!

 

最後に

再生可能エネルギー.comは株式会社サンエーが運営しております。

弊社は再生可能エネルギー事業の他、電気設備工事事業、住宅事業、IoT住宅設備事業、次世代LED事業等、お客様の生活の質を向上できるよう多岐に渡って事業を展開しております。

「エネルギー問題の解決につながるような取り組みをビジネスの中で実現したい」そんな思いから「化石燃料の奪い合いのない社会」をつくるために社員全員で最善のご提案をさせていただきます。

脱炭素経営に興味のある方はこちらをダウンロードください