2022
11/07
目次
今年に入り、新電力会社の倒産、事業の撤退が相次いでいます。
2021年度の新電力の倒産件数は過去最多であり、
2022年に入っても撤退や新規申し込み停止をする新電力が後を絶ちません。
帝国データバンクの調べによると、2021年4月までに小売り電気事業者として登録されていた新電力706社のうち、
2022年6月8日時点で倒産は19社、撤退は16社。新規申し込み受付などの停止をしたのは69社に及びました。
では一体なぜこのような事態となっているのでしょうか。
電力事業を撤退しなければならない理由
2月 ウクライナ侵攻
2022年2月24日、ロシアがウクライナへの侵攻を開始しました。
そしてアメリカやヨーロッパなどの西側諸国はロシアに対して経済制裁を加えました。
そのうちの一つが、エネルギー大国であるロシアからの石油輸入の停止です。
西側諸国で構成されるG7の一員である日本も、足並みを揃えるためにロシア産石油の禁輸に踏み切っています。
日本は石油の大半を輸入に依存しており、ロシア産石油はうち約4%を占めていました。
数値だけを見ると依存度は高くないようにも思えますが、
その失われた4%の新たな調達先を探さなければいけない問題などが露わになりました。
エネルギーの調達先が失われたことは、燃料価格の高騰に繋がり、
結果的に新電力の倒産や撤退の一因となっています。
3月 電力需給ひっ迫
2022年3月16日、福島県沖で最大震度6強の地震が発生しました。
そして東北・関東エリアにある6つの石炭火力発電所が稼働を停止させました。
そこに追い打ちをかけるように、3月下旬には10年に1度レベルの「季節外れの寒波」が到来し、
暖房利用などによる電力需要の増加によってJPEXの市場価格が高騰しました。
今年起こった上記の燃料価格の高騰、電力需給のひっ迫に伴った電力需要の増加は
新電力の相次いだ倒産や撤退に繋がりました。
昨年以前の新電力の撤退も上記の理由が主なものです。
電力事業を撤退した企業
ホープエナジー
ホープエナジーは、全国の地方自治体向け支援などを手掛けている「ホープ」による新電力です。
元々はホープの電力事業という形で経営されていましたが、2021年以降の電力取引価格高騰を受けて業績が悪化。
2022年3月に破産しました。
ウエストでんき
ウエストでんきは、「ウエストホールディングス」による新電力です。
主に法人向けの電力小売事業を展開していましたが、電力取引価格高騰の影響を受け、
2022年4月末で新電力事業から撤退しました。
エルピオでんき
エルピオでんきは、電力取引価格高騰の影響を受け、2022年4月をもって新電力事業を停止しました。
会社自体は存続しており、都市ガスなどの事業は継続しています。
アンビットエナジージャパン
アンビットエナジージャパンは、エネルギーのネットワークビジネスを展開する
アメリカ系企業「アンビットエナジー」の日本法人です。
6万件近くの契約を獲得していましたが、電力取引価格高騰の影響を受け、
2022年5月をもって日本国内の電力小売事業から撤退しました。
撤退はしていないが新規受付を一時的に停止している企業
楽天でんき
楽天でんきは、ウクライナ情勢による電力取引価格高騰の影響を受け、
2022年3月より新規受付を一時的に停止しています。
また、2022年6月からは料金の値上げを実施しています。
Loopでんき
昨今の電力調達事情を憂慮し、2022年4月より新規受付を一時的に停止しています。
また楽天でんきと同様に、2022年6月からは料金の値上げを実施しています。
まちエネ
人気コンビニチェーンのローソンと三菱商事が共同で設立したまちエネは、
ウクライナ侵攻によるエネルギー価格高騰の影響を受け、
2022年3月より新規受付を一時的に停止しています。
シン・エナジー
再生可能エネルギーに力を入れ、全国65カ所に自社発電所を保有するシン・エナジー。
しかしウクライナ侵攻による国際的な資源価格高騰の影響を受け、
2022年3月より新規受付を一時的に停止しています。
丸紅新電力
2002年より電力小売事業に参入し、豊富な自社発電所を所有する丸紅新電力ですが、
燃料価格高騰により電力調達が先行き不透明になっていることを受け、
2022年4月より新規受付を一時的に停止しています。
今後の見通し
今冬も急激な寒さに見舞われる見込みとなり、政府から約10年ぶりとなる節電要請が発表されました。
節電要請が発表されるということは、
電力の供給が追い付かなくなる可能性があるということがうかがえます。
節電の効果が表れなかった場合、今年の3月同様、JPEXの市場価格の高騰等が考えられ、
新電力は事業の継続という課題に直面することになるでしょう。
最後に
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